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WT(whiTEE):遠藤さん自らで糸から商品づくりをされていると伺いましたが、どうしてそこまでこだわって究極のTシャツを作ろうと思ったのですか。

 

遠藤さん:大学を卒業後、OEMに就職したんですね。それは様々なアパレルブランドから依頼を受けて、商品を代理で作成してそのブランドのタグを付けて販売するという仕事でした。アパレル業界のビジネスモデルは、価格設定から逆算して生産量、生産コストを決めるのが一般的です。また、各シーズン毎に非常に多くの型数を回すので、1つの商品にかける時間やこだわりが希薄です。それもそれで面白さを感じてはいたのですが、一方で本当に良い商品、良い洋服ってなんだろうということは忘れられているような気がしていました。その中で、こうしたらいいのではないかという考えが自分の中に生まれてきていて、それを本気でやってみようと思い始めました。なぜTシャツなのかという点に関しては、Tシャツが好きだったのと、単純に見えて奥が深い商品なので、とことん向き合ってみたいなと思ったのが始まりです。

 

最終的に2013年に自分が納得出来るクオリティの商品を作ろうとこのブランドを立ち上げました。

実際形にするのは1年半くらいかかりました。

WT:なぜそんなに時間がかかったのですか?また、こだわった中で一番苦労された過程はどこですか。

 

生地づくりに一番時間が掛かりました。というのも当時、市場に納得出来るものが無かったので生地から自分で作っていったからです。

 

アパレルの経験があったため、こうしたらそれが出来るのではないかという頭の中に理想とする生地のイメージが既にありました。ですが、その頭の中の計算と仕上がってくるものとの乖離が実際はあったりしたので、非常に時間がかかりました。

 

また、ものによっては糸にするところから取り組んだので、糸が仕上がるまでの2ヶ月間くらい足踏みしなければならないこともありました。更に大変だったのは、待って出来上がった糸が納得できるものでなかったら、また1から作り直したところです。なかなか理想とする生地を作れないという点で1番苦労しましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

WT:そんな苦労があったからこそ、究極のTシャツは生まれたんですね。一方で、究極という名前ですが色々な種類があるのは何故ですか?

 

究極とはいいつつも好みがあるので、選択肢の幅を広げるためにも何種類か究極のTシャツを作っています。

実際にTシャツを見せてもらう一同 

 

WT:滑らかですね!!!!でも生地はしっかりしていますね。滑らかだけど、しっかりしてる。でも厚すぎない生地・・・。

まさに商品名の通り、コンフリクトですね。

 

淡く柔らかく糸を編めば、気持ちいいものになるのですが、洗濯で伸びたりしがちなんです。でもそういう洗濯に弱い物を作りたくなかったので、気持ちいいけど強い生地を目指しました。

究極のTシャツの生地は詰めて密度濃く編んでいるので、丈夫です。ただ、その分糸量を使っているので値段も高いんですが。笑

 

 

WT:実際長年着用されているとどのような変化がありますか。

 

相変わらず気持ちいいですよ。かけている加工がすこしづつ落ちて滑らかさがなくなって、少しかたくなって、詰まっていくのですが、それもそれで洗った後の方がいいと言ってくださるお客さんもいらっしゃいます。

 

このTシャツをデイリーに着て欲しいなと思っています。服の中には、高くて繊細でクリーニングにださないといけない服もあると思うのですが、自分の考える”究極”はそれとは正反対です。

着たら洗濯機に放り込んでもらって、でも気持ちよく着続けられることこそ、究極だと思っています。

いろいろな種類が究極のTシャツにはありますが、共通するのは長く使えること、ですね。

  

例えば普通は襟だったり袖口は2本針だけでおわらせるんです。しかし、耐久性を持たせるために、うちの商品は折りたたんで縫う前に端に一回ロックミシンで空ロック*1という加工をしています。裏でロックと絡まっているので、変な話、表面がほつれてもまだまだ着れるんです。隠れているのですが、襟の中もロックミシンで補強しているんです。なんでかというと、天竺という生地の特性上、切りっぱなしだと端が丸まってしまうんですね。そうなるとよれてかっこ悪くなってしまいます。耐久性とは別の話ですが、綺麗に長く着るための見えないこだわりもあります。多分この中にロック加工を入れているメーカーは、他にないと思っています。

 

何か新しい商品をつくる時は洗って着てを何十回も繰り返さないと販売しません。なので究極のTシャツもはじめはロック加工は無かったのですが、着ていく内に端が丸まってかっこ悪くなってきたのに気が付きました。そこでロックが必要だなと感じて付けました。実は1番最初に商品化したものにはロック加工がついていなくて、どんどん地道に改良しています。気がついた時に細かい所を都度改良しています。

ブランドをやっていて嬉しかったのは、お客様からわざわざ喜びの声をメールしてくださったことですね。普通、洋服を買ってよかったなと思ってもなかなか連絡を頂けたりしないので本当に嬉しかったですね。

 

WT: 究極のTシャツの先は何か考えていますか?

 

Tシャツ以外にも展開出来たらなと思っています。シャツやパーカー等に実はずっと挑戦しています。それを商品化していないのは、自分が納得できるクオリティのものがまだ出来ないからです。市場を見た時に圧倒的に良いものが作りたいと思っています。自分が市場で良いなと思うものと並ぶレベルまでは作れるのですが、それを商品化しても仕方ないと思っています。圧倒的に超えるクオリティのものが出来たら販売したいと思っています。

*1;(参考文献「セコリ百景」さん) http://secori-hyakkei.com/?p=347

STELLAR CONFLICT天竺 S/S 

T-SHIRT WHITE

¥11,880 税込

”圧倒的に良いものづくりを追求したら商品化まで1年半もかかった”

まだないTシャツを求め、糸を紡ぐところから遠藤さんのものづくりは始まった。

生地をなでた時は、滑らかさやしなやかさを。生地を握った時は、しっかりとしたコシやハリを。着ていて気持ちいいが、耐久性に優れて長く着続けられるという一見矛盾したTシャツを作っているアトリエコモプティの遠藤さんにお話を伺いました。

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